社労士法人プロフェス代表の前田です。
変容してきた日本の人事制度と就業規則の戦略活用法というテーマで、弁護士の石嵜先生のセミナーを受講してきました。
石嵜弁護士は数少ない経営者側弁護士で多数の著名な労働事件を解決され、また著書も多数出版され、私も愛読しており、この日を楽しみにしていたのでした。
セミナー内容は予想どおり就業規則というより、法律論となりました。
その中でも、頭の整理がつき、これまで私自身が行ってきたことが正しかったと自信がもてたことが2つ程あったのでした。
ひとつは、雇用調整と賃金ダウンの優先順位の問題です。
ビジネスローヤーとして著名な高井伸夫弁護士の著書にも「経営者・人事担当者はリストラの方策をめぐって雇用調整(人員削減)か賃金ダウンかで、いつも思い悩むが、人員削減を先行しなければ社員の納得は得られないのが現実である。裁判所の考えも同様である。」と法的には人員削減が賃金ダウンよりも容易に認めれられると解説されています。
社員側も賃金ダウンに先立っての雇用調整が社員の総意として納得感があり、だれもが自分たちのまわりには多くの「含み損社員」が存在していると実感しているからだと言われます。
社労士である私も、数々の企業でリストラを指導してきましたが、上記の考えには違和感があり、訴訟リスク(労働条件の不利益変更)を考慮しても最初から「人員削減」したことはなく、賃金ダウンをお願いすることが多かったのでした。
石嵜弁護士も同様で、実務上は賃金ダウンをお願いし、それに合意できない人を次の手段として人員削減すると言われます。
法的なリスクはあるが、冷静に考えると当たり前のことであり、私の頭の中が一つ解消したのでした。
次に人員削減の方法になるのですが、雇用調整と言えば「整理解雇の4要件」など社労士はすぐ議論したがるのですが、実際私は整理解雇をやったことありません。
私の中では整理解雇をやる時点で、雇用調整に関するリストラは失敗だと思ってます。
300人?1000人規模の企業でリストラを指導してきましたが、すべて退職勧奨で完了させてきました。
それも条件提示と礼節を重んじた対応で、合意書をもらいます。
石嵜弁護士も同様に整理解雇の手前で処理し、希望退職と退職勧奨で済まされるそうです。
やっぱりか!という安心感をもちました。
社労士、特に特定社労士は解雇に詳しいため、凝った解雇通知書を作成し吹聴しますが、解雇まで到達しないのに何の役に立つのでしょうか?
私がこれまで抱いていた疑問です。
実務というのは、石嵜弁護士が語るようなものでしょう。
ただ留意点として石嵜先生いわく?会社が自ら(第三者に任せるのでなく)礼儀をもってプロバー同志(銀行や親会社から来た人間でなく)で人員削減を説得することが大切で、また?退職を勧めた社員も退職してもらうことが前提であると衝撃的な話をされていました。
この話を聴くと、勤務社労士時代にお世話になった日経連の職務分析センター所長だった吉田純一先生がご自身の経験をもとに話された「リストラに従事した人間は最終的には会社を去らないといけない」という言葉を思い出すのでした。
景気の回復のためにも、消費に悪影響の出る「解雇」ではなく、「賃金ダウン」でこの大不況を乗り越えることができればと願っております。
